骨折の基礎知識!!分類や合併症、治療まで徹底解説。




今回は骨折の基礎知識について解説します。

骨折の基礎知識

骨折って何?

骨折とは、

人体を構成する骨は200〜206個(個人差あり)あり、

その骨に外から直接加わる力(直達外力)や間接的に加わる力(介達外力)によって、

骨が変形したり破壊を起こす外傷で、

骨構造の連続性が一部または全て絶たれた状態のことをいいます。

健康な骨は、もともと若干の柔軟性や弾力性があって骨折しにくいのです。

ところが、限界を越えるような強い外力や繰り返しの外力で破壊されたり、

骨自体に腫瘍などの病変がある時にはわずかな外力でも破壊されることがあります。

また骨折は高齢者の寝たきりの原因、脳血管疾患についで2位で生活に密接に関わる病気なのです。

骨折によって生活レベルが低下したり、長期的な治療により職業復帰や社会参加が困難になることがあるため、

骨折後の運動機能を最大限に回復させ早期の社会復帰を目指すにはリハビリの役割は大きくなります。

骨折の分類

原因による分類

①外傷性骨折

最も一般的な外力による骨折

②病的骨折

骨粗鬆症、転移性骨腫瘍などがあり、軽微な外力で生じる骨折

③疲労骨折

軽微な外力の繰り返しによる骨折

形態的分類

横骨折・斜骨折・粉砕骨折・圧迫骨折・らせん骨折・剥離骨折・亀裂骨折・若木骨折

重複骨折(1つの骨に複数骨折)、多発骨折(複数の骨に骨折)

創の有無による分類

開放骨折=複雑骨折(骨折部に創があり、外界と骨折部がつながっている状態)

閉鎖骨折=単純骨折=皮下骨折(骨折部に創がない状態)

骨折部位での分類

大腿骨頸部骨折の場合:Gardenの分類

stage Ⅰ(不全骨折)

stageⅡ(転位なし)

stageⅢ(部分転位)

stageⅣ(完全転位)

程度による分類

完全骨折:骨構造の連続性が完全に絶たれている状態

不全骨折:骨構造の一部に連続性がある状態

骨折の症状

骨折には三大主徴と呼ばれる代表的な症状があり、

疼痛(自発痛・圧痛)、変形、異常可動性の3つである。

・視診でわかること

腫脹、変形、皮下出血

・触診でわかること

運動障害、マルゲインの圧痛点(骨折部に一致して圧痛)、異常可動性、軋轢音

診断

理学所見+単純X線像、CT、MRIなどで行う

固定の種類

①外固定

ギプス、副子、装具

固定範囲:骨折した骨の上下の関節を含めて固定する

例)脛骨骨折:膝関節と足関節も含めて固定する

②内固定

手術で内固定用金具を挿入して行う

③創外固定

開放骨折の場合に実施

開放骨折は緊急性が高く受傷後6時間が分岐点

1)洗浄、デブリドマンを優先して実施

2)抗生物質、破傷風トキソイド投与

3)創の治療   

〜6時間:一時的に閉鎖

6時間〜:縫合せずウエットドレッシング療法

4)骨折の治療

〜6時間:創外固定、外固定、内固定

6時間〜:創外固定、外固定

骨折の合併症

①神経損傷

好発部位:上腕骨骨幹部骨折で橈骨神経、脛骨近位部骨折で総腓骨神経に生じやすい

②血管損傷

好発部位:大腿骨遠位部骨折で膝窩動脈に生じやすい

③区画症候群(コンパートメント症候群)

厚い筋膜で囲まれた部(区画)の内圧が上昇し、種々の症状が出現する。

原因:循環障害、筋の損傷など

部位:前腕前方区画、下腿前方区画に生じやすい

症状:障害された区画の痛み、区画内勤・神経の麻痺症状

治療:減張(筋膜)切開 急いで実施する必要あり。

④フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)

小児の上腕骨顆上骨折で生じやすい

原因:前腕部の区画症候群

症状:手の屈筋の阻血、正中・尺骨神経の麻痺症状

※指のpassive stretch testが陽性となる⇒放置するとフォルクマン拘縮へ

⑤内臓損傷

肋骨で肺、骨盤で尿管などの損傷がありうる

⑥骨髄・脂肪塞栓

原因:大腿骨の骨折や骨盤の骨折により脂肪滴が肺や脳血管で塞栓を起こす

症状:呼吸苦、脳神経症状、腋窩や結膜の点状出血がみられる

⑦骨癒合遷延

4ヶ月経過しても骨癒合が認めない状態

⑧偽関節

骨折部位が分断されたままの状態であたかも関節が存在するような異常可動性を認める

⑨変形治癒

⑩異所性骨化

⑪無腐生壊死

骨折後の後遺症

①変形治癒:上腕骨顆上骨折後の内反肘など

②遷延治癒や偽関節:4ヶ月が経過しても治らない骨折

③関節拘縮、筋萎縮、:早期のリハビリ開始が必要

骨折部位別の治癒日数

骨折してから骨癒合または機能回復までの期間を各部位別に記したもので

Gurlt(グルート)とColdwell(コールドウェル)の表がある。

Gurltの表は、最良の条件下での骨癒合までの最短期間を表している。

いずれの表も、画一的に保存療法によっていた時代のもののため、あくまでも参考程度。

 

部位

Gurlt

Coldwell

 

仮骨出現

骨癒合まで

機能回復まで

指骨

2W

2~3W

3~6W

6W

中手骨 

2W

2~3W

3~6W

6W

中足骨 

2W

2~3W

3~6W

6W

肋骨 

3W

橈・尺骨

骨幹部

5W

3W

6~8W

10~12W

肘関節内

5W

3W

5W

12~14W

手関節内

5W

3W

6W

7~8W

鎖骨

4W

上腕骨

下端部

2~4W

6W

8W

骨幹部

6W

2~4W

6W

8W

上端部

7W

2~4W

6W

8~12W

骨盤 

4W

8W

8~16W

大腿骨

頚部

12W

12W

24W

60W

転子間部

4W

12W

16W

骨幹部

8W

6W

12W

14W

顆上部

6W

12W

14W

膝蓋骨

6W

6W

6~12W

脛・腓骨

膝関節内

7~8W

6W

6W

14W

骨幹部

7~8W

4W

6W

12W

足関節内

7~8W

6W

6W

12W

踵骨

6W

8W

12~14W

治療の方法と順序

①循環障害、神経損傷の有無を確認

②整復:徒手整復、牽引(介達・直達)、観血的整復(手術)

③固定

創外固定、外固定、内固定

④リハビリテーション・理学療法(運動療法・物理療法・装具療法)

運動療法:関節可動域運動、筋力増強運動、部分荷重練習など

物理療法:電気刺激療法、超音波療法、寒冷療法、温熱療法など

装具療法:骨折の固定や骨折部の免荷など

最後に

骨折の理学療法(リハビリ)では、骨折部の保護合併症の予防が重要となります。

せっかく手術したにもかかわらず、

過度な関節可動域練習や筋力増強運動行なってしまうと

内固定の破損や偽関節や骨化性筋炎になってしまう可能性がある。

そのため、荷重量や荷重時期を守り骨癒合の程度を確認しながら適切に

理学療法(リハビリ)を勧めていくことが大切。

患部を安静にしすぎたり、動かし続けると慢性痛へ移行してしまう可能性もあるため、

患者は医師や理学療法士の指示に合わせて運動していくことが重要となってきます。

今回は骨折の基礎知識についてでした!

最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)




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ABOUTこの記事をかいた人

現在、一般病院勤務の理学療法士。 元テニスインストラクターをしており、好きなことを仕事にするも怪我でテニスが出来なくなる生徒を目の前にして、自分自身も怪我でテニスができなかったことを思い出す。やりたいことができなくなった人のために、またやりたいことをするためのお手伝いができる仕事はないかと探し、再びリハビリテーションの専門学校へ入学。卒業後、理学療法士となる。 自分が今まで得てきた知識を誰かの役に立てるためブログを執筆中。