筋膜リリースって何!?筋膜の異常や効果、方法を説明!筋膜リリースにエビデンスはあるのか??




 最近、一般の方々も筋膜リリースという言葉を耳にする機会が増え、

筋膜リリース(MyoFiscialRelease=MFR)は

多分身体にいいものなんだろうなと

何となく理解している人が多くいると思います!

今回は、その筋膜リリースについて細かく説明していきたいと思います!

あなたの思っている筋膜リリースは間違っているかも!!

そして、筋膜リリースをちゃんと説明できないまま

筋膜リリースと言って施術しているセラピストの方はしっかり理解しましょう!

筋膜リリースを理解するためにまずは筋膜から説明していきます!

筋膜とは

筋膜とは、名前の通り筋肉を包んでいる膜です。

筋膜は全身に張り巡らされており、

筋膜以外を溶かしても身体の形が残ることから

「第二の骨格」とも言われています。

筋膜の構造

筋膜は細かく分けると、

・浅筋膜

・深筋膜(腱膜筋膜)

・筋外膜

・筋周膜

・筋内膜

と5つに分けられます。

これらの筋膜は、漿膜下筋膜(胸膜、心膜、腹膜の線維性の層)

とも繋がっています。

このように全身に張り巡らされています。

筋膜は、コラーゲン線維と少量のエラスチン線維で出来ています。

筋膜の中でも深筋膜はエラスチンが少なく、

筋内膜はほとんどがコラーゲンで出来ています。

コラーゲンは、

身体の形を整えたり、身体の動きに合わせてハンモックのよう形を変えます。

エラスチンは、

コラーゲンと混じり合い重なり合いながら存在し、

ゴムチューブのように伸び縮みでき、身体に加わる力がなくなれば

元の形を取り戻す働きがあります。

コラーゲンとエラスチンは互いに協力しあい、

身体に加わった緊張をコントロールしています。

日本と海外での筋膜の受け止め方の違い

筋膜は英語では「Fascia」と書きます。

Fasciaを日本語に訳すと、「膜」・「筋膜」となります。

膜は、筋膜だけでなく

靭帯・関節包・腱膜・臓器包・支帯・脊髄硬膜・大脳鎌・小脳鎌・小脳テント

なども含みます。

海外の書籍や文献を読む場合は、

どのような意味でFasciaを使っているか

内容より理解する必要があります。

筋膜は「Myofascia」と狭義のい意味で筋膜と書くこともあります。

筋膜の役割

浅筋膜は、

皮下組織の脂肪層にあり、あらゆる方向に動くことが出来ます。

皮膚と浅筋膜が滑らかに動くことによりむくみを防いでいます

深筋膜は、

厚みは1mmで斜め・縦・横の3層構造となっており、

各層の間に水に浸した真綿のような

疎性結合組織とヒアルロン酸が

分布していることにより

筋外膜と滑らかに動くことで

隣り合う筋肉同士に

摩擦が起こらないように

滑りを助けて運動を滑らかにしています。

筋膜の異常

筋膜は悪い姿勢や偏った動作を長く続けていると、

身体の一部に不必要な負担が加わり、

姿勢も非対称となり、

筋膜が動けなくなります。

また同じ動きを何度も繰り返したり、

同じ姿勢を長時間続けたり、

怪我をすることで

ますます筋膜は自由度を失います。

そうなると筋外膜のコラーゲンとエラスチンが一部分に寄り集まり

サラサラの間質液(基質)がゼラチンのように粘っこくなり

コラーゲンとエラスチンが自由に動けなくなってしまいます。

筋膜が一部分に寄り集まることにより基質が脱水し

ゼラチンのようなゲル状となり、

さらに滑りを助けていたヒアルロン酸も寄り集まることにより

粘稠度が増します。

この状態が筋膜の異常なのです。

筋膜の異常が引き起こす問題

筋膜が異常を起こすことにより

1本1本の筋繊維の動きや働きも悪くなり、

十分な筋力は発揮できず、柔軟性も低下します。

また筋膜に異常がある人は、関節周囲に痛みを感じます。

筋膜の緊張が腱を引っ張り(筋膜が腱となるため)、

この腱が関節の関節包を引っ張ることにより痛みを感じます。

関節包には痛みを感じる感覚受容器があるため、

関節包が引っ張られることにより痛みを感じます。

関節が痛む方は、関節に問題があるわけではなく

このように筋膜に問題がある場合もあります。

もちろん関節の痛みは、関節自体に問題がある場合もあります。

つまり筋膜に異常が起こることにより、

・筋膜痛

・関節痛

・筋出力の低下

・柔軟性の低下

・運動パフォーマンスの低下

・正しい姿勢の保持困難

・日常生活活動(ADL)の低下

などが起こります。

筋膜について理解したところで

次は実際に筋膜リリースについて説明していきます!

筋膜リリース(MFR)とは

筋膜リリース(MyoFiscialRelease=MFR)とは、

圧や振動、ストレッチを用いて

筋膜のねじれやよじれなどの異常を解放することにより元に戻し、

筋と筋膜の正しい伸長性を回復し、

筋肉が正しく動けるようにするための1つの方法です。

筋膜リリース(MFR)の歴史

筋膜リリースという言葉が生まれたのは、

アメリカで1874年にアンドリュー・ティラー・スティルによって

作られたオステオパシー医学

の中で使用される手技の一つで

筋・筋膜へのアプローチ方法として生まれました。

他にも筋膜リリースを主に用いるボディワークとしては

ロルフィングがあります。

日本で筋膜リリースを有名にさせた人物は、

理学療法士の竹井仁先生です。

筋膜リリースについての本も多数書かれています。

ためしてガッテンや金スマでも出演されていましたね。

筋膜リリース(MFR)による効果

筋膜リリースにより筋膜のよじれやねじれが戻るのですが

どのような機序でも戻るのかというと

現在、考えられている方法は2つあります。

それは、力学的影響神経生理学的影響です。

力学的影響は、伸張刺激や圧刺激により組織に対する

水和作用が考えられます。

水和作用のイメージとしては、

スポンジの中にドロドロの水分(ゼラチン=ゲル化)が入っているとします。

そのスポンジを絞ることによりドロドロの水分を一度絞り出し、

次は新しいサラサラの水分を含ませるような状態のことです。

筋膜ストレッチしたり、皮膚の上から組織を圧迫し

水分を押し出し(虚血)ます。

そうすることにより、圧から解放された時に間質液(基質)などが

再び流れ込むことにより再び組織に潤いが取り戻されます。

筋膜の粘稠度が改善することにより

筋膜のなめらかな滑りが取り戻され、筋膜が解きほぐされるのです。

このように水和作用により柔軟性や筋出力の改善が考えられるのです。

別の影響として、最近最も有力と言われている説は

神経生理学的影響です。

筋膜リリースを行うことで

固有感覚受容器が刺激を受けることにより

痛みをはじめとした感覚に対する閾値が変化し、

実施前よりも多くの刺激(ストレッチや痛み)を

受け入れられるようになると言われています。

考え方としては、静的ストレッチで起こる生理学的作用の

ⅠB抑制と似た効果が得られるということです。

力学的影響(水和作用)と神経生理学的影響(固有感覚受容器への刺激)

の2つにより筋膜リリースは

柔軟性や筋出力の向上、痛みの軽減といった

効果が得られると考えられます。

筋膜リリース(MFR)の適応

筋膜リリース(MFR)の適応には、

①急性・慢性の疼痛

②自動・他動関節可動域制限

③アライメントの改善

④円滑な自動運動の異常

⑤神経の機能異常

⑥循環障害

⑦頭痛

⑧顎関節機能異常

⑨頭部外傷後

⑩新生児の分娩時外傷や分娩ショック

⑪生理痛

⑫小児や高齢者のコンディショニング

⑬スポーツ障害

⑭最適なパフォーマンスの獲得

筋膜にアプローチ(治療)することが出来れば

水和作用と固有感覚受容器への刺激により

上記14個への対応も可能と考えられます。

しかし、細かい対応に関しては実技のスキルと知識はかなり必要となります。

世の中の筋膜リリース(MFR)に対する誤った認識

世の中でたまに「筋膜はがし」という言葉を聞くことや目にすることがありますが

筋膜の構造など説明してきたように、

筋膜の構造上、「はがす」ことは出来ません!

また、「はがす」べきではありません!

もしはがそうとするのであれば

メスではがす必要があります。

リリースとは制限を「解除する」、「解きほぐす」

ということを意味します。

つまり筋膜のねじれやよじれを

「解除」したり、「解きほぐす」ことが筋膜リリースなのです。

民間療法などで筋膜はがしなどと言っているところは

本当の意味で筋膜リリースを理解していない可能性があります。

筋膜をはがすように無理やり行う施術は、

身体の異常をさらに悪化させる可能性があるので気を付けてください。

というか、「筋膜はがし」と言っているような場所で

施術を受けることは止めましょう

筋膜リリースの方法

筋膜リリースの方法には様々な方法があります。

まずはじめに徒手アプローチです。

徒手的な方法は、

筋膜リリース・筋膜マニピュレーションなどが有名です。

その他には器具でアプローチ(施術・セルフ)になります。

筋膜リリースの道具として1番有名なのは

フォームローラーだと思います。

有名なブランドのものでいうと

TRIGGERPOINT社のグリッドフォームローラーが有名ですね。

フォームローラーにも種類があって、

振動型フォームローラーと非振動型フォームローラーがあります。

振動型フォームローラーでは、僕もセルフコンディショニングとして

使用していてオススメなのが

DOCTOR AIRのストレッチロールです。

個人的に振動型がオススメな理由は、

論文で非振動型に比べ効果が大きいと立証されているからです。

その他にかなりマニアックな道具ですが

IASTM(スキンストレッチ)というものもあります。

最後は道具の要らない自分でできる方法ですが、

竹井先生が書かれている本にもある、筋膜ストレッチです。

筋膜リリースのエビデンス

では、筋膜リリースには

科学的根拠があるのかというところですが、

まだまだ論文も少ないため

科学的根拠があるとはいい難いのが現状です。

しかし、海外の論文で

神経症状もなく、レントゲンやCTなどの画像でも異常なく

手術経験もない慢性腰痛患者に対して

筋膜リリースを行なったことにより

行わなかった人に比べ

即時的または中期的に改善を認めたものもあります。

そのため、様々な方法を試したが良くならないなどという方には

試してみる価値はあるかもしれません。

まとめ

それでは最後に今までの内容をまとめると、

筋膜リリース(MyoFiscialRelease=MFR)とは、

圧や振動、ストレッチを用いて

筋膜のねじれやよじれなどの異常を解放することにより元に戻し、

筋と筋膜の正しい伸長性を回復し、

筋肉が正しく動けるようにするための1つの方法です。

現在は、筋膜リリースに対する科学的根拠はまだまだ不十分な状態ですが、

疼痛に対して効果があることや

実際に身体に変化が起こるため

今後、より研究されていく余地のあるものだと思われます。

今回の記事で、

みなさんが正しい筋膜リリースの知識を

得てもらえれば嬉しく思います。

オススメ書籍

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ABOUTこの記事をかいた人

現在、一般病院勤務の理学療法士。 元テニスインストラクターをしており、好きなことを仕事にするも怪我でテニスが出来なくなる生徒を目の前にして、自分自身も怪我でテニスができなかったことを思い出す。やりたいことができなくなった人のために、またやりたいことをするためのお手伝いができる仕事はないかと探し、再びリハビリテーションの専門学校へ入学。卒業後、理学療法士となる。 自分が今まで得てきた知識を誰かの役に立てるためブログを執筆中。