タンパク質の正しい摂取量・摂取方法




運動やトレーニングを始めると

筋肉を付けるためやタンパク質の摂取が重要だと聞いたことから

タンパク質の摂取を増やそうとする方が多いと思いますが

最近ではYouTubeなどで有名フィジーカーやボディビルの方が

タンパク質を体重×3gなどの摂取量を勧めていたりしますが

今回は実際にタンパク質を摂取する際の適正量とはどれぐらいの量なのか

また正しい摂取方法を栄養学や生理学の観点から

説明していきたいと思います。

タンパク質とは

タンパク質は、筋肉の構成成分ですが

それ以外に、酵素やホルモンの成分などにもなっています。

多くの方は、筋肉=タンパク質

考えられている方が多いと思いますが、

実際は筋肉中のタンパク質は、

20%程度しか含まれていません。

また筋肉中のタンパク質に

含まれる必須アミノ酸の35%が

運動中にエネルギー源として

利用されることが多い

分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン:BCAA)

なのです。

分岐鎖アミノ酸(BCAA)

分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、

運動強度が高くなると分解促進酵素が活性化され

エネルギー源としての利用量が増えます。

また、運動時間が長くなると

減少した糖質を補うためにアミノ酸の一部を使って

糖質を作る(糖新生)ことから

さらに利用量が増加すると考えられます。

タンパク質の体内での

活躍の幅は多岐に渡っていますが

筋肉のように構成しているタンパク質以外に

体内に蓄えておける量は

アミノ酸プール(血液や各組織に存在する遊離アミノ酸)に

わずかにあるだけなのです。

運動をされている方の場合、

タンパク質は運動量の増加や

運動時間の延長に伴い摂取量を増やすべき

栄養素なのです。

タンパク質摂取の必要性から考える摂取方法

タンパク質の摂取をする必要性には2つあります。

①リカバリーのためのタンパク質の摂取

通常、私達はエネルギー源として

糖質と脂質を使用しています。

しかし、運動強度が高くなったり、

運動時間が長くなったりするとタンパク質が分解されます。

つまり分解されない運動(トレーニング)は、

運動強度が低く、時間も短いということになります。

つまり、運動によって成果を得ようとすると

タンパク質を分解なしにトレーニングすることは

難しいのです。

タンパク質(分岐鎖アミノ酸:BCAA)の分解による影響

タンパク質(分岐鎖アミノ酸:BCAA)の

分解による影響は2つあります。

①筋肉中の分岐鎖アミノ酸を利用するためには、骨格筋の分解が必要。

高強度や長時間の運動によって

骨格筋内のタンパク質が分解される場合、

骨格筋内の分岐鎖アミノ酸だけを抜き取ることはできず

骨格筋自体の分解が必要となります。

これは骨格筋の「末梢性疲労」の原因の一つと

考えることができます。

②分解されたその他のアミノ酸の行方

多くのアミノ酸は、

遊離アミノ酸になるか肝臓で更に分解されて、

様々の組織で使われます。

しかし、必須アミノ酸の1つである

トリプトファンは、

神経系の疲労である「中枢性疲労」の原因となると

考えられています。

このような影響があるため、

分岐鎖アミノ酸の分解は避けたいが、

運動によって成果を求める場合、

全くタンパク質の分解なしにトレーニングすることは難しい

ことがわかると思います。

しかし、できるだけ筋肉中の分岐鎖アミノ酸を

分解しないようにすることは可能なのです。

筋肉中の分岐鎖アミノ酸の分解を抑える方法

①エネルギー源としての糖質の減少によって起こる分岐鎖アミノ酸からの糖新生を軽減させる

具体的な方法としては、

運動前から筋グリコーゲンの量を多くしておくこと(運動前の糖質摂取)

運動中に糖の摂取を続けることがあります。

②血中の分岐鎖アミノ酸濃度を運動前より高め、運動中にも摂取する

糖新生により分岐鎖アミノ酸を分解して

エネルギー源として使うことになっても

血中の分岐鎖アミノ酸濃度を高めておくことで

運動中は血中の分岐鎖アミノ酸を使うことにより

筋肉中の分岐鎖アミノ酸は使わず、

骨格筋を分解せずにすむか、

分解量が少なくてすむことになります。

具体的な方法は、

運動前よりBCAAの摂取をし、

運動中も継続してBCAAの摂取をすることです。

つまり、運動をする際は運動前と運動中の

糖質と分岐鎖アミノ酸(BCAA)の補給

が重要になります。

しかし、長時間継続して運動する場合は、

筋肉中の分岐鎖アミノ酸を使用する可能性は高くなります。

そのため運動後は、

分岐鎖アミノ酸を中心に補給することが必要となります。

また運動時間が長くなれば、

分岐鎖アミノ酸以外のアミノ酸も、

さまざまな組織で使われたり、分解されたりするため

運動強度と運動時間に合わせてタンパク質の摂取量を

増やす必要があります。

最近の研究では、

タンパク質とともに糖質を補給することが

ダメージを受けた骨格筋の合成と

グリコーゲンの再補充に効果的であり

できるだけ運動直後に補給することで

回復が効果的に行われるということもいわれています。

そこで、運動後に糖質とともに

分岐鎖アミノ酸を中心とした

タンパク質を補給することが重要です。

②筋合成のためのタンパク質の摂取

筋合成とは、

筋肉を4階建てのビルに例えると

トレーニングによって筋肉に強い刺激が加えられると

刺激によってビルの屋根が壊される(筋肉痛)。

しかし雨漏りすると困るので、

タンパク質が入ったペンキを塗って修復。

ペンキが乾くまでに2〜3日かかる(筋肉痛が治る、超回復)。

そして、再び刺激を加えると

また屋根が壊れるので、ペンキを塗って修復、

乾いたらまた刺激を加えるという流れを1年繰り返すと

ペンキが乾いた部分が厚みを増し、

4階建てが5階建ての高さに変わる。

この現象が筋肥大なのです。

このビルの屋根を壊した経験が少ない人のほうが

破壊が大きくなるとされているため

初心者がトレーニングを始めると

筋肉の付き方が上級者に比べ多く感じることがあります。

このイメージが理解できると

タンパク質をたくさん摂取しても

それだけ筋肉が大きくなるわけではなく

必要以上にタンパク質を摂取しても意味がないと

わかると思います。

また、屋根が壊れたらすぐにペンキを塗るほうが早く修復します。

つまり、筋力トレーニングをしている人は

回復に必要な栄養素を運動直後に摂ることで

運動後の筋合成が高まることがわかると思います。

さらに、筋力トレーニング後に

ペンキを塗って乾く時間を考えると

48時間(超回復に必要な時間)以降も

タンパク質代謝が亢進することも理解できます。

そこで、トレーニング後のタンパク質摂取は、

トレーニング直後に限定せず、

1日を通して体内のタンパク質の利用に応じて

摂取する必要があります。

またインスリンの作用により、

糖質の分解が軽減されることから

タンパク質だけでなく、

筋肉のために糖質を摂取することも考える必要があります。

身体活動によって変わるタンパク質摂取量

体重1kgあたりに必要なタンパク質の摂取量を

この2点で考慮したものがこれです。

上記の表よりウエイトトレーニングなどを

かなり本格的に行っている方(高強度の運動をしている人)でも

摂取量としては体重1kgあたり2.0gなので

60kgの人の場合は、

60(kg)×2.0g=120gとなります。

これ以上摂取した場合は過剰摂取となり、

身体に悪影響がある可能性があります。

自分の運動量を表から選び、

自身のタンパク質摂取量を普段の生活から考えてみてください。

まとめ

運動によって結果を出そうとすると

糖質と脂質だけでなくタンパク質も分解されてしまう

タンパク質の分解では、

骨格筋の分解により末梢性疲労

トリプトファン(分解されたアミノ酸の一つ)が中枢性疲労

を起こしてしまうため、

だから、できるだけタンパク質は分解させたくない

分解を抑える方法には、

運動前・中の糖質とBCAAの摂取が有効

しかし、長時間の運動では分解されてしまう可能性が高くなるため

運動の強度や時間によって摂取量を増やす必要がある。

最近の研究ではタンパク質とともに糖質を補給することが

ダメージを受けた骨格筋の合成とグリコーゲンの再補充に効果的であり

できるだけ運動直後に補給することで回復が効果的に行われると言われている。

筋肥大においては、

タンパク質を必要以上摂取しても意味はない

トレーニング直後だけでなく

超回復(運動後48〜72時間)の間に

1日の必要摂取量を十分に摂ることが重要!!

今回、タンパク質とは何なのか。

また目的に応じた摂取方法・摂取量について

書かせてもらいある程度わかって頂けたと思います。

栄養においては、経験則からの誤った情報も

インターネットでは書いてあることもあるので

詳しく良質な情報を少しでも提供できるように

Blogは頻繁ではありませんが今後も書いていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!




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ABOUTこの記事をかいた人

現在、一般病院勤務の理学療法士。 元テニスインストラクターをしており、好きなことを仕事にするも怪我でテニスが出来なくなる生徒を目の前にして、自分自身も怪我でテニスができなかったことを思い出す。やりたいことができなくなった人のために、またやりたいことをするためのお手伝いができる仕事はないかと探し、再びリハビリテーションの専門学校へ入学。卒業後、理学療法士となる。 自分が今まで得てきた知識を誰かの役に立てるためブログを執筆中。